ドラッグストアで働く管理栄養士です!
今回は、店頭でお悩みの多い便秘についてまとめてみました!
便秘薬をお求めのお客様はとても多い印象がありますが、便秘薬はくせになりやすいものが多いため、便秘薬の頻度を減らしたり、少しでも改善できたら良いですよね。
便秘の原因は様々ありますが、今回は食物繊維について考えていこうと思います!
便秘について
便秘は、本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度ないきみ、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難を認める状態と定義されています。
参考:「日本消化管学会.『各種活動(ガイドライン).https://jpn-ga.or.jp/activities/(2025年9月22日最終閲覧).」
日本では、全体で3.6%、男性2.8%、女性4.4%の人が便秘を感じていると報告されています。また、65歳以上の男性6.8%、女性7.4%と高齢者になるほど便秘を感じている人が多い傾向にあります。
参考:「厚生労働省.『2022年(令和4年)国民生活基礎調査の概要』.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/index.html(2025年9月22日最終閲覧).」
食物繊維のはたらき
食物繊維の主なはたらき
食物繊維は、消化酵素の影響を受けずに小腸を通過し大腸まで達する成分で、お腹の調子を整えるはたらきがあると言われています。
食物繊維には、穀類、野菜、きのこ、こんにゃく、豆類、種実類などに多く含まれる不溶性食物繊維と、果物、いも、海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維があります。
これらは、便の体積を増やす材料となったり、大腸内の環境を整える腸内細菌を増やすはたらきがあると言われています。
日本人の食物繊維摂取量は、男性18.8g、女性16.9gとなっていて、成人の目標量である男性20~22g、女性18gと比べても少ない傾向にあります。
参考:「厚生労働省.『健康日本21アクション支援システム』.https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-05-001(2025年9月22日最終閲覧).」
「厚生労働省.『国民健康・栄養調査(令和5年).https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html(2025年9月22日最終閲覧).」
食物繊維のその他のはたらき
食物繊維摂取量が多いほど、以下のようなことが報告されています。
・心筋梗塞、脳卒中、循環器疾患、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの疾患の発症率、死亡率が低くなる傾向がある。
・体重、収縮期血圧、総コレステロール値が低くなる。
・排便頻度が高いこと、慢性便秘の改善に効果的である。
参考:「厚生労働省.『日本人の食事摂取基準(2025年版)』.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html(2025年9月22日最終閲覧).」
便秘と食物繊維について
食物繊維が排便排便に及ぼす影響について調査した文献をご紹介します。
20歳代の女性に必要なエネルギーに食物繊維10g、20g、30gを調整した食事を、各々5日間に渡って摂取させたところ、食物繊維量の増加にともなって排便量、排便回数がともに増加しました。
また実験期間中の自覚症状として、残便感、腹部膨満感、排便時の肛門部の痛みがみられたが、食物繊維20gでもっとも少ないという結果でした。また、食物繊維量30gでは全被験者が食事量の多さが苦痛であると訴えがありました。
このことから、快適な自然排便を促す食物繊維量は、20gが適当であると思われましたが、食物繊維に対する反応は個人によってことなると考えられるため、今後更に詳細な検討が必要になると考えています。
参考文献:石井智香子、東玲子.食物繊維が排便におよぼす影響.日本看護科学会誌.1992年.12巻、1号、p16-22.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans1981/12/1/12_16/_article/-char/ja/(2025年9月22日最終閲覧).
プロバイオティクス
プロバイオティクスとは、腸内細菌のバランスを整え、人体に有用な働きをする微生物やこれを含んだ食品のことで、ビフィズス菌や乳酸菌などがそれにあたります。
乳酸菌は大腸で糖を分解して乳酸を作り出し、乳酸が腸内を酸性にしてビフィズス菌が繁殖しやすい環境を作ることで腸内環境が整えられます。
乳酸菌はヨーグルトやチーズ、納豆、味噌などの発酵食品に含まれています。
参考文献:上西一弘、藤井義晴、吉田宗弘.健やかな毎日のための栄養大全、NHK出版、2022年、p113.
おすすめレシピ
手軽に食物繊維が摂れる、おすすめレシピをご紹介します。
たっぷりきのこと海藻の味噌汁

〈材料(2人分)〉
・えのき(1パック)
・まいたけ(1/2パック)
・カットわかめ(大さじ1)
・顆粒だし(小さじ1/2)
・味噌(大さじ1)
・水(300ml)
〈作り方〉
1.水に顆粒だしを入れ煮立たせる。
2.根本を切ってほぐしたきのこと、わかめを入れ、3分程煮る。
3.火を止めて味噌を溶き、沸騰直前まで中火で加熱して完成。
このレシピで、1人あたり約3.2gの食物繊維を摂ることができます。
手軽に作れるレシピとして、具材はきのことわかめに限定していますが、豆腐や玉ねぎを一緒に入れたり、きのこの種類を変えても美味しいです!
まとめ
今回は、便秘に対する食物繊維のはたらき、腸内環境を整えるプロバイオティクス、おすすめレシピについてご紹介しました。
食物繊維は便秘以外に、生活習慣病予防にとっても重要とされている栄養素です。しかしながら、日本人に不足しやすい栄養素でもあるため、意識的に摂りたい栄養素です!
コメント